花火は光源です。当然のことながら、同時に打ち上がる数が少なければ暗く、多ければ明るくなります。しかし、プロカメラマンでもないのに、その打ち上げ数によって露出の調整をして最適な光量に合わせた写真を撮るのはアマチュアには難しく、なおかつ、次々と打ち上がる花火大会の中では至難の業と言えます。露出による明るさの補正はせずにオートに設定し、想定した明るさのときに撮影するほうがいいでしょう。
ただし、アマチュアでも撮影時の明るさで気をつけられる点があります。花火大会は夜行われるわけですが、まだ日が暮れきらない時間帯に始まる場合、空はまだ明るいので、露出をマイナス補正して、少し暗めに撮影するといいでしょう。露出補正の仕方は各自、マニュアルを見てください。
★打ち上げの状況別の写真
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・空が青いときはマイナス補正
日が暮れてまもない時間はまだ空が青く、左の写真のように花火とのコントラストが弱い場合があります。この場合は露出をマイナスに補正することで、よりくっきりとした写真にすることができます。ただし、あまりマイナス補正をかけるとシャッタースピードが短くなり、光の軌跡が短くなってしまうので注意しましょう。
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・同時打上数が多いときは様子を見る
仕掛け花火など、連続して多くの花火が打ち上げられていると、大量の光が発生し、重なっている部分などが左の写真のように白く飛んでしまいます。このような場合、露出をマイナス補正しても限界があるので、打上数が落ち着くまで撮影を止め、花火を楽しみましょう。
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・花火大会のフィナーレの撮影は避ける
花火大会のフィナーレはたいがいたくさんの花火をいっぺんに打ち上げ、盛況に内に幕を閉じます。観ている分には大迫力ですし、圧巻ですが、あまりにも大量なため、左の写真のように単なる爆発の写真にしかなりません。フィナーレの撮影はあきらめて自分の目と肌で花火を堪能しましょう。
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よくポスターなど、プロカメラマンが撮影した花火の写真では、複数の花火が一度に打ち上がっているような光景を目にします。これはバルブと呼ばれる方法で、シャッターをずっと開放したままにし、必要なときだけシャッターのフタを外す(黒い紙などで代用する場合もあり)ことで、違う時間に打ち上がった花火を同じフィルム上に焼き付ける方法で撮影します。多重露光ともいいます。これにより、上記のような単なる爆発にならず、いくつもの花火を写し込むこができるわけです。
バルブは、ここで解説の対象にしているコンパクトなデジタルカメラにはほとんど搭載されていないので、そのような撮影はできません。マニュアルモードがついているカメラであれば、設定によってはシャッターを30秒程度あけておくことができるので、ピントを無限大にしてレンズの前に黒い紙を置き、数秒ずつその紙をどけることで同じような効果が得られることもありますが、個人的にはあまりオススメしません。
そのように作る写真よりも、目の前に広がる花火を写真に収めることに注力したほうが、アマチュアのレベルではいい写真になると思います。
ここまでで花火撮影に関する基礎知識は終了です。あとは写真の善し悪しを決める、シャッタータイミングです。
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